奈良市の新火葬場訴訟めぐり 和解案が市議会で可決
2023.05.10 18:18
- 奈良市の新しい火葬場の用地取得をめぐる裁判で、奈良地裁が示した和解案について市議会の臨時議会で10日、採決が行われ、議長裁決の結果、可決されました。
- 奈良市の火葬場をめぐっては、市が、建設するための土地を鑑定評価額の3倍以上の価格で購入したとして住民訴訟が起こされ、仲川市長と元地権者にあわせて約1億1600万円の支払いを求めることを奈良市に命じる判決が確定していました。
- 市は、市長らに損害賠償を求め奈良地裁に提訴していましたが、奈良地裁は「市に損害はあったものの、用地の早期取得により損害額以上の財政負担を回避できた」などとして、4月25日付けで和解条項案を示しました。
- それにより仲川市長と元地権者の賠償額はそれぞれ3000万円ずつが相当であるとしました。
- そして10日の臨時市議会本会議。討論で5人の議員が「和解案の受け入れは住民訴訟の意義をなくす」などと反対の立場から意見を述べました。
- その後、議長を除く36人の記名投票が行われ、賛成18、反対18で同数となり、議長裁決の結果、和解案は可決されました。
- これを受けて仲川市長は報道陣の取材に応じ、次のように述べました。
- 仲川市長
- 「最終的に裁判所が示してきた和解案に対してご同意いただけたので、この問題については一区切りと考えています。様々な反対の声もいただいてきました。ここに至った経緯というのは、住民の皆さんの様々な思いが反映されているので、その点については重く受け止めたい。」
- 一方、住民訴訟を起こしたグループは、次のように述べました。
- 住民グループ 厚井弘志さん
- 「今回は残念というか、びっくりしているというか、呆れているというか。公金を扱う和解というのは、普通はちょっと考えられない。」
- 和解によって奈良市は、当初の賠償請求額と利息から6000万円を差し引いた約8600万円を、回収を求めず債権放棄することになったことから、住民グループは今後、住民訴訟を検討すると明らかにしています。