映画監督 河瀬さん手がける 大阪・関西万博パビリオンに十津川村の廃校
2023.07.03 18:50
- 2025年に開催の大阪・関西万博で、奈良市出身の映画監督・河瀬直美さんのパビリオンとして活用される十津川村の廃校を、万博会場に移す工事の安全祈願祭が2日、行われました。
- 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに2025年4月から大阪市此花区の夢洲で開催される大阪・関西万博。映画監督の河瀬直美さんは、この万博のテーマ事業プロデューサーを務めており、「いのちのあかし」と名付けられたパビリオンを手がけることになっています。そのパビリオンに活用されるのが、十津川村の旧折立中学校の校舎。
- 2日は校舎を解体し夢洲に移すための工事の安全祈願祭が行われ、河瀬さんや十津川村の小山手村長、そして折立地区の住民らが工事の無事を祈りました。
- 旧折立中学校は1952年に建設され、2012年に閉校しました。
- 2つの校舎があり、対話で互いの違いを理解し乗り越えることをめざす河瀨さんのパビリオンでは、南棟がエントランスに、北棟は対話の記録などを見ることができるエリアとして活用されます。地域で愛され続けてきた学校が大阪・関西万博に。十津川の人たちの喜びもひとしおです。
- 旧折立中学校の卒業生
- 「世界の人たちにも見てもらえるということなので卒業生として誇らしいと思います。」
- 十津川村 小山手村長
- 「地元の皆さん方の有志が資金を集めて建設された地元で作った学校だと聞いています。そういったところが十津川らしいやり方、谷瀬の吊り橋にも共通する。地元のことは地元で、自分たちでできることは自分たちでやる。本当にこれまでの命を繋いでいただいたような非常にありがたいことだと思います。」
- 河瀬さんも全国の廃校を調べる中で、「十津川の人たちの思いのこもった」旧折立中学校の校舎に惹かれたといいます。祈願祭の後も地元の住民と対話を重ねた河瀬さん。自らのパビリオンで「今あるものに着目し活用するという形で社会に新たな提案をしたい」と意気込みます。
- 映画監督 河瀬直美さん
- 「足を踏み入れた時に懐かしさを感じる。そういった私たちのアイデンティティをこの中で感じました。私たちができることの中で、夢洲で半年間ですが、新たな命を吹き込んで新たな価値観を付けてブランディングして(万博後も)どこかで生きていってくれたらと思います。」
- 日本の高度成長から地方の過疎・高齢化が進む今まで時代の変化を見守りながら命を育んできた学び舎は、今回の万博で新たな役割を果たそうとしています。工事は2024年4月まで行われるとともに2024年1月には夢洲での設置工事も始まる予定です。