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奈良のニュース
安倍元総理銃撃事件から1年 事件繰り返さないために
2023.07.07 18:55
政治、宗教、警護など様々な影響があった歴史的事件から1年。こうした事件を繰り返さないために必要なことは何か取材しました。

 去年7月8日午前11時30分、近鉄大和西大寺駅前で参議院選挙の応援演説中だった安倍元総理が銃で撃たれ死亡しました。事件当時、選挙の応援のため東側の歩道で街頭演説を聞いていた天理市の並河市長は当時を振り返って…。


天理市 並河健市長

「最初は一般的な銃声とは違うものですから、何かの破裂音と言うか、少し膨らんだような大きな音で、妨害かなというふうに感じたんですが、安倍元総理が倒れておられた」

 並河市長はすぐにマイクを手に取り、医療従事者に協力を呼びかけたほか、集まった人々を誘導しました。現場にいた一人の市長としてこのような事件を二度と起こさないために行政の立場から考え続けることがあるといいます。

天理市 並河健市長

「私たち行政にあるものとしては、社会の中で支え合える絆づくりというのを大事にしないといけない。安倍元総理が候補者に向けての言葉で最後お話になっていた部分が、「できない理由を探すのではなくて…」というところをお話になっているときに銃撃に遭われたんです。私のなかでは「できない理由を探すのではなくて」という言葉がずっと残っています。」


 山上被告は母親が入信した世界平和統一家庭連合=旧統一教会を恨み、安倍元総理を狙ったことがフリージャーナリストへの手紙などから明らかになりました。犯罪心理学が専門の奈良女子大学の岡本英生教授は、山上被告の犯行当時の心境について…。

犯罪心理学が専門 奈良女子大学 岡本英生教授

「おそらく彼の気持ちとしては、お母さんに見捨てられたとか、あまり愛情を向けてくれないという、お母さんに対する愛情と恨みがぐちゃぐちゃになっている状態。安倍元総理は信頼できる人でも、自分の嫌いな旧統一教会に加担しているように思ったということで、非常に恨みを持ったということだと思うんですけれど。本人自身も今言ったような説明が多分できないと思うんです。」


 選挙の応援演説を狙った襲撃はことし4月にも和歌山市の漁港で男が岸田総理に爆発物を投げ込む事件がありました。岡本教授はこの2つの事件には共通点がみられると話します。

岡本英生教授

「中にはよくやってくれたと思っている社会の中の人もいるかと思うが、みんなのためを思ってやっているわけじゃないと思うんです。それは二人ともすごく共通していますよね。問題解決能力の乏しさが出ているだけで、それがたまたま標榜している正義が、何か我々がちょっと疑問に思っていることとちょっと重なるところがあるので、一部共感できるところは確かにあるんですが、社会のためにやっていないです。やろうとも思っていない。」

 岡本教授はさらに、事件の凶器の製作方法やその材料の調達手段となったインターネットについても議論が必要だと話します。

岡本英生教授

「インターネットを使って情報を集めて、銃を作ったり爆弾作ったという可能性があるので、インターネット上の統制とかそういう声っていうのは多分強くなる可能性がありますよね。あと、そこから先のいろんな危険物への実際のアクセスに対してある程度制約があった方がいいと思う。その前の段階のインターネット上で危険なものを検索している人に対してどう対応するかとか。ちょっと落ち着いて、冷静に議論する必要があるでしょうね。」

 事件では宗教と政治の関わりのほかにも、事件当日の警察の警備・警護の不備も問題になり、新たな「警護要則」が制定されました。さらに国葬のあり方も議論となり、事件の影響は様々な方面に及びました。事件を繰り返さないためにはその真相を明らかにすること、そして一人一人が冷静に事件が示した問題を議論することが求められています。