有識者や農家らが意見交わす 「奈良のシカ」の保護管理のあり方を検討 初会合
2023.12.21 17:58
- 奈良公園に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の保護管理のあり方を考えるため、県が有識者らをメンバーに設置した部会の初会合が開かれました。
- 21日開かれた部会は、「奈良のシカ」の保護管理のあり方を中長期的に検討するもので、県や奈良市のほか、有識者や農業関係者などが出席しました。鹿の保護施設「鹿苑」に設置されている「特別柵」には、農作物や人に危害を与えたシカが死ぬまで収容されていて、県と市は2023年11月までに柵内が過密状態であり、管理には課題があるとする調査結果を報告しました。「特別柵」はシカによる深刻な農作物被害を受け設けられたものです。国や県では「奈良のシカ」の生息区域を4つに分け保護管理の指針を定めていて、特別柵に収容されているのは捕獲が禁止されている地区と山間部との「緩衝地区」で捕獲されたシカです。
- 検討委員からは「特別柵」の過密状態を解消するため、収容頭数や収容後のシカの扱い方の見直しを議論することが必要との意見が出されました。さらに、「特別柵」のシカが本来どの区域に生息する個体なのかが正しく把握できておらず、「シカに埋め込まれているマイクロチップのデータが十分に生かされていない」とする厳しい意見もあがりました。また、深刻な食害被害を受けている農家からは支援のための基金の設立などが提案されました。次回は検討委員会が2024年3月に開催される予定で、県では2025年3月をめどに検討内容をまとめるとしています。
- 鹿苑のあり方検討部会 リーダー 村上興正さん
- 「『C地区』(緩衝地区)の保護管理に関する基準ができていないということが一番の原因。保護管理基準をつくるということがまず重要になると。早急にできることと時間がかかるものを仕分けして優先順位をつけてやっていきたいと思います。」