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奈良のニュース
考えよう!ピンクリボン月間 乳がん検診の今 患者に寄り添う人たち
2024.10.18 18:36

 10月は「乳がん啓発月間」です。奈良テレビでは17日に引き続き、乳がんに関する情報をお届けします。きょうは乳がん検診の今と、患者に寄り添う人についてお伝えします。


 乳がんは乳房の内部にあり母乳をつくる役割の「乳腺」にできる悪性腫瘍で、症状としてはしこりができることなどで知られています。一方で、乳がんをはじめとする乳房の病気を専門に扱う「乳腺専門医」の数は少ないのが現状です。三郷町にある県西和医療センターでは、2022年乳腺外科が開設したばかりで、乳腺外科部長高島勉さんは西和7町で唯一の「乳腺専門医」です。


県西和医療センター乳腺外科 高島勉部長

「これが病変(がん)ですね。この白いしこりです。乳がんは触ると「石」です。中にパチンコ玉が入っているんじゃないかというぐらい硬くあるのが典型的な例ですね」


 高島さんは、乳がんはがんのなかでも比較的進行が遅いとして、早期の発見と治療が大切だと話します。そのため40歳以上の女性には2年に1度の乳がん検診を呼びかけます。自宅でできるセルフチェックの方法を高島さんに聞きました。

県西和医療センター乳腺外科 高島勉部長

「自分の乳房を自分で触ってみるというのはすごく大事なことです。乳腺って結構硬い組織なので、つまむと全部しこりに感じてしまいます。指の腹、あるいは手のひらで押すように、一列に触っていきます」

 少しでも異常を感じれば、医療機関で検診を行います。


 X線検査=マンモグラフィ、エコーなどを経て組織を取って検査し、腫瘍が良性か悪性…つまりがんかを調べます。このうちマンモグラフィは乳房を圧迫し、薄くして撮影する検査機器ですが…。

 

本田まりあ 記者

「どうしてもマンモグラフィって聞くと痛いイメージといいますか…」

県西和医療センター 検診マンモグラフィ撮影診療放射線技師 山本寛子さん

「マンモグラフィに対するマイナスのイメージはできるだけつかないように我々は頑張っています」


 最新機器では圧迫固定を行った後、撮影に影響しない範囲で圧迫する力を自動で減圧する機能があるといい、従来の機器に比べ痛みをやわらげることができるといいます。また、撮影においては患者とのコミュニケーションを大切にしていると話します。


県西和医療センター 検診マンモグラフィ撮影診療放射線技師 山本寛子さん

「患者さんの協力がないと、やっぱり良いお写真が撮れませんので、痛いとおっしゃられる方もいらっしゃいますけど、意外と痛くなかったわとおっしゃっていただく患者さんもいる。機械の進化も取り入れながら、患者さん一人ひとりに寄り添ったかたちで検査ができるように」

 検査、治療を経て患者のケアまでを行うのが乳腺外科の大きな役割です。一方で、患者のなかには大きな不安や焦りを感じる人もいて、去年12月に手術を受けた女性もこう話します。

乳がんの治療を受ける患者

「とにかく(抗がん剤が)しんどいのがネックでした。近所の人にも一切言わない。常に帽子かぶって歩いて、たまたま夏やったから外に出なかったですけどね。いろんな人との関わりのこと考えていたら「どうしよう」とそればっかりでした」

 今年6月に開設されたセンターの「がん相談支援室」の看護師、山田千幸さんは「相談内容は病気に関することや日常生活での疑問など多岐にわたる」と話します。

県西和医療センター 緩和ケア認定看護師 山田千幸さん

「やっぱりがんの患者さんは自分の病気だけではなく、生活をしながらがんの治療もやっていくので、たくさんのお悩みもお持ちかなと思います。どこかに相談できる場所ということで、ここを利用していただいたらいいのかな」


 日本人女性の9人に1人がなるとされ、身近な病気と言える乳がん。一方で、治療やケアを行う乳腺専門医の数はまだ少ない状況です。乳がんへの正しい理解、そして専門医の重要性を社会全体で認識し、地域の医療を支えていくことが今求められています。