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鹿苑のシカ問題 愛護会に行政指導 奈良市「虐待行為ではない」最終判断示す
2023.11.24 18:35
シカの保護施設「鹿苑」の「特別柵」に収容されたシカの管理状況について、獣医師が「動物虐待にあたる」と告発していた問題。24日奈良市保健所は、虐待行為には該当しないとする調査結果を公表しました。
この問題は、鹿苑内の「特別柵」に収容されているオスのシカについて、奈良の鹿愛護会の獣医師が死亡した際の平均推定体重が軽いことなどから「エサが不十分で動物虐待にあたる」と、2023年9月、県と奈良市に通報していたものです。一方、奈良の鹿愛護会は本来が野生動物のため柵内になじめないなどとして、虐待について一貫して否定しています。獣医師の通報を受けて県は特別柵の収容環境について調査を実施。11月6日、山下知事は「収容環境は不適切」であり「奈良の鹿愛護会の責任は重い」とする調査結果を公表し、鹿苑の設置者である県にも連帯責任があるとする見解を示しました。
一方で、特別柵のシカに対する愛護会の対応が虐待行為にあたるかどうかは判断できないとして、奈良市の判断に注目が集まっていました。奈良市保健所は、動物愛護管理法に基づき10月から11月にかけて獣医師のほか、動物福祉の専門家など3人の有識者を交えて6回の立ち入り調査を実施。
24日公表された報告書の中で奈良市は、明らかな動物虐待を裏付ける事実は見られず、愛護会は保健所の指導に従っているとして、動物愛護管理法に基づく虐待行為には該当しないとする最終判断を示しました。
奈良市 仲川市長
「虐待には当たらないけれども動物福祉的には問題があるというのが、今回の結論であろうと思っております。」
仲川市長は、特別柵のオスには衰弱で死亡する例も多く、栄養不良が見られるなど管理については課題があると指摘。水やエサの衛生管理、収容したシカの衰弱を防ぐ管理対策など、大きく4項目で是正を求める行政指導を24日付けで奈良の鹿愛護会に対して行ったということです。その上で、これからの特別柵のあり方を問われると…。
奈良市 仲川市長
「どんどん頭数が増えるという状況に対して、鹿愛護会の方もどうすればいいのか困っておられたのではないかと思います。出口戦略がまったく無いなかで、どんどん受け入れだけをしているようなスキーム(仕組み)自体をもういちど再検証して、このスキーム自体をどう変えていくべきかというところの議論をまずしていく必要があると思います。」
深刻な農業被害を出したことなどにより、シカが特別柵に収容され、過密状態となったことで生じた今回の問題。奈良のシカと、人間との正しい向き合い方について、重い問いが投げかけれられています。
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