東大寺関連の経典をおさめる 正倉院聖語蔵13世紀中頃の建立か
2023.04.19 18:35
- かつて東大寺に関係する経典をおさめていた正倉院聖語蔵について、宮内庁正倉院事務所は初の本格調査を実施し、13世紀中頃に建てられたとみられることがわかりました。
- これは宮内庁正倉院事務所がまとめた「正倉院紀要第45号」で発表されました。正倉院聖語蔵はもとは東大寺の塔頭・尊勝院の経典をおさめるために使われていたもので、宮内庁正倉院事務所は2020年11月に初の本格調査を行い、建物の構造や使用された木材の年代などを調べました。その結果、建造物部分の木材は1235年以降、内部の棚板部分の木材は1126年以降に伐採されたものであると考えられ、聖語蔵の建立は13世紀中頃とみられることがわかりました。また、聖語蔵では棚を壁に沿わせて設置しており、般若寺の経蔵なども同様の形であることから、この形式が中世奈良の経蔵の特徴であると推定しています。これらの調査報告は正倉院のホームページでも閲覧できます。