21日(土)

北部
南部

22日(日)

北部
南部
  • ただいま放送中
  • 04:30
  • テレビショッピング
  • 次の番組
  • 05:00
  • イイものショッピングゥ〜!
奈良のニュース
鹿苑のシカ問題の調査結果報告 特別柵の環境が不適切「県にも責任あった」
2023.11.06 19:14

 奈良の鹿愛護会の獣医師が、シカの保護施設「鹿苑」で保護されているシカについて「エサの量や質などが不十分で動物虐待にあたる」と主張し県が調査していた問題で、県は6日、特別柵の収容環境は不適切で改善が必要との調査結果を発表するとともに、「鹿苑」の設置主体である県にも責任があるとの見解を示しました。

 県の調査は、国際獣疫事務所が動物福祉の理念として提唱する「動物の5つの自由」に適合するかを指標として、現状を評価しました。その結果、特別柵内の実体はすべての指標に抵触しているとして、シカの収容環境は不適切と結論づけました。そしてこの実体を招いた奈良の鹿愛護会の責任が重いと判断する一方で、愛護会は人手不足や金銭的にも厳しい中、「奈良のシカ」に関する多くの業務を担っており、責任は、鹿苑の設置主体である県にもあるとして次のように述べました。

 山下知事

「愛護会の管理に不十分な点があったということは事実だと言わざるを得ない。これは県と愛護会の共同の連帯責任ですので、県と愛護会でともに特別柵内のシカの管理を改善していく」

 県が設置し奈良の鹿愛護会に運営を委託している「鹿苑」には、農作物や人に危害を与えたシカを収容する「特別柵」と呼ばれる場所に、およそ240頭が保護されているといいます。この「特別柵」を巡っては奈良の鹿愛護会の獣医師が、「特別柵」に保護されているオスのシカに限って死亡時の平均推定年齢が若く、平均体重も軽い傾向にあるとして、「エサの量や質が不十分で動物虐待にあたる」と主張。それに対して奈良の鹿愛護会はオスのシカは群れで行動する習性がなく「特別柵」に保護された場合、柵内の環境に馴染めず死亡するケースがあるとして動物虐待ではないと反論していました。

 それを受けて県では9月に獣医師を中心とした県独自の調査チームを立ち上げ調査を進めていました。調査結果の発表をうけ、山下知事は問題の原因として奈良の鹿愛護会に野生のシカに対する知識不足が見られ、エサの量よりも「質」や「与え方」に大きな問題があったと指摘。また県がシカの管理を愛護会にまかせっきりで主体的に関わってこなかったことや、愛護会に対する補助金が十分でなかったことなどをあげました。

 そして、今後の対応として短期的には給餌や給水、管理方法の改善を行うほか、中長期的には1年をめどに「特別柵」のあり方や農業被害をもたらしたシカを死ぬまで特別柵で管理する現在のルールの見直しなどを専門家による委員会で幅広い議論をしていくと話しました。

 きょうの発表を受け、奈良の鹿愛護会の山﨑伸幸事務局長は「記者会見で指摘いただいたところは真摯に受け止め、改善すべきところは、改善していかなければならない」と話しました。一方で特別柵の現状などについては、県に年一回相談していたといいます。そして、野生のシカを収容する難しさを指摘し、非難されることのないような基準を決めてほしいと述べました。

 また今回の問題で通報書を提出した、獣医師の丸子理恵さんは県の調査結果を評価し、県の指摘を忠実に実行するかモニタリングしなければならないと話しました。

 なお、山下知事はシカの管理方法が不適切であると認める一方で、これまでの対応が虐待にあたるかどうかの判断は県が決める立場にないとした上で、現在調査をしている奈良市に判断を委ねるとしています。