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阪神・淡路大震災から30年 避難所運営の課題
2025.01.16 19:01
奈良市立済美小学校。西木辻町など、済美地区の住民の指定避難所になっています。
奈良市自主防災防犯協議会 池口光隆会長
「ここが大規模災害が起こりましたら避難所になります」
奈良市が指定する避難所は、市内に148カ所。その多くが、学校の体育館や公民館など住民に身近な施設です。
避難所の開設や運営の中心となる、奈良市の自主防災防犯協議会の会長、池口光隆さん、70歳です。
池口 光隆さん
「(防災)訓練はしていますが、大災害が起こった時に(ふだん)訓練に参加されていない方が来られると思います。大変な混乱があると思うんです。そこがちょっと不安ですね」
避難所は、自治体が作成した手引きに基づいて運営されますが、中心的な役割を担うのは、地域の自主防災組織をはじめ、地域住民自身と定められています。
避難スペースをどう割り振るのか、支援物資の振り分けはどうするのか、やるべきことは多岐にわたります。さらに・・・。
池口 光隆さん
「(避難者には)要配慮者の方もおられますので。教室を振り分けていきます。治療が必要な方もおられるでしょうし、たくさんの避難者の中ではちょっと困るという方も。いろんな方に対応する必要がある」
「避難者はお客さんじゃないので・・・。運営していく皆が一丸となって、連絡を取り合って同じ共通の意識を持って取り組むのが大事やと思います」
ただ、避難所の円滑な運営は自治体にとっても課題です。奈良市は2024年、能登半島地震で被災した自治体を支援するため、多数の職員を石川県に派遣しました。
奈良市の下畑宏危機管理監。現地からの報告を受ける中で、ある危機感が募ったといいます。
奈良市危機管理課 下畑宏危機管理監
「奈良市として思ったのは、『受援計画』ですね。受け手の方、被災した自治体の方が支援者を受け入れる体制が取れていないというところは見受けられました。支援が来るということを想定して、準備をしておくということが、どれだけきちんとできるかというところで、支援者が来ても受け入れることも難しいし、物資が届いてもそれを上手くさばくことができない、ということがあると思いまして。『受援』=『支援を受ける』準備を整えておくと。自主防災組織を中心とした『共助』の取り組みですね。地域の皆さんでやっていただけるところはしっかりやっていただくという活動が特に重要になってくる」
30年前の阪神・淡路大震災では、避難所の環境も大きな課題になりました。避難生活のストレスや環境の悪化などが一因となって命を落とす、「災害関連死」が注目されたのも、この震災がきっかけでした。
死者6434人のうち、関連死と認定された人は900人以上。2024年の能登半島地震では、関連死の数は、既に死者の半数を超えています。
災害関連死のリスクを、いかに避けるか。能登半島地震では、住まいのある自治体を離れる「広域避難」が相次ぎました。
清潔なトイレやベッド、温かい食事を提供できるなど生活環境の整った施設に移ることで、避難生活の長期化によるリスクを下げる避難行動です。そのためには、県や国を含めた広域的な取り組みが必要だと下畑さんは指摘します。
奈良市 下畑危機管理監
「奈良市としてはそれぞれの地域に指定避難所を置きもうひとつ、いわゆる「1.5次」避難所という、広域避難前の前段階の避難所というものを奈良市として検討しているところです。広域避難はどちらかというと、県・国レベルの活動になってきますので指定避難所におられる方をいわゆる「1.5次」避難所にどのように集約していくか、それと「広域避難」という3つの考え方が上手くきれいに連動して整理されるような仕組み、役割作りをきちんと詰めていく必要があると考えています」
阪神淡路大震災から30年。自らの命を守り、互いに協力し合い、社会全体で困難を乗り越える。間違いなくやってくる次の巨大災害を前に、あの日から学ぶ教訓はまだあるはずです。
奈良市 下畑危機管理監
「他の自治体で起きたことは、奈良市でも起こりうると考えることが必要」
池口会長
「いつ自分に降りかかるか分かりませんのでね。他人事だと思わずに。それが一番大事です」
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