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阪神・淡路大震災から30年「壊れるものは何もいらん」家具作家の夫婦 震災が原点に
2025.01.15 19:01
田原本町にある工房で、廃材や木材を使って家具を作る夫婦がいます。夫の永島力也さんと妻の庸さんです。
2人は30年前、神戸市中央区に住んでいました。あの日、神戸の街を震度7の巨大地震が襲いました。
永島 庸さん
「まだ暗いときにグラグラと揺れたんは覚えてんねんぐるぐる回ったような感じで、ドーンと音がしたから見たら、寝てた枕元にテレビが落ちてきて、なんやと思って。まだ暗いから、何が起きたかわかれへんねんけどとりあえず窓開けて隣の家をみたら、屋根に穴が開いてて、これは何やろうなと思って。」
当時、神戸市中央区では、死者243人、負傷者3782人、6344棟が全壊するなど、甚大な被害を受けました。見慣れたまちが一変。そこには変わり果てた光景が広がっていました。
永島 庸さん
「明日からどうやって、どういう風に時が進んでいくのかいうのが何か想像できへんかって…」
永島 力也さん
「それはもう明日が見えないいう心配があったな。」
家も仕事もなくした2人は一大決心をします。幼い子どもを連れ、震災の翌年、元々借りていた家があった、奈良県に引っ越してきました。
力也さんは解体の現場で働き、庸さんも高等技術専門校で家具作りを学び始めました。かつて画家という夢を持っていた庸さん。「家具作り」は、絵を描くような楽しさを、思い出させてくれました。
永島 庸さん
「今思い出したら震災がなかったら、ずっと神戸におったら、家具も作れへんからこういう楽しさには巡り合ってなかった、なんか皮肉やけど、私ら命があったから、私らにとっては前向きに生きていける環境が整って。」
その後、2人は工房を設立。家具作家としての人生を、夫婦で歩き始めました。
永島 庸さん
「あの頃を思い出したら、何とか今は奈良におって、奈良の廃材見てるけれども、やっぱりすごく木自体に何か思い入れが出た、いうんかな。燃えてしまったあの悲しさと、まだまだ生かされる木と、何かそういうのやったら頑張って生かしてあげようというような。」
永島 力也さん
「壊れるもんはいらん。家も壊れる電化製品も壊れる、壊れるもんはもう何もいらんあんだけ壊れてしまったから。せやけど壊れへんかったものを、手に入れたいうんかな、ここへ来て。」
「木を頑張って生かしてあげたい」
つらく、苦しく、悲しい出来事だった震災は今の生活の原点になっていました。2人は今、震災を振り返ります。
永島 力也さん
「1.17そやな。1.17いう数字を、これから先も絶対忘れへんやろうし、悪い意味やけどいい意味で17を忘れんとこうと思う。それこそ今生きてることに、生きてんねや、ようやってきたな、やってこれたなと思う。」
永島 庸さん
「一旦なくしたその若い頃、絵描きになりたいという夢あったやん。それをもう一回違う形でな、家具作りできてめちゃくちゃ楽しいからさ。私にとっては、まだまだ頑張ってやれるっていうその喜びを与えてくれる原点になったから、この震災があったからというよりもそのきっかけになったんかな。」
永島 力也さん
「30年早いな、30年。」
2人の日常が、一瞬にして壊された日からまもなく30年。壊れることのないものを見つけた2人は、震災の記憶とともに、木に新しい命を吹き込み続けています。
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